Title: What uneasy feelings teach me
2021年03月30日(火) - 2021年04月09日(金)
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皆様、こんにちは。
今年2021年夏に開催となった、東京オリンピック2020。先日、海外からのお客様をお迎えすることを断念するとのニュースが流れました。
心の中で何かモヤモヤするものを感じた私。なぜだろう?と考えました。
このオリンピックのために、多くの日本の方々が、海外のお客様をお迎えするために時間と労力をかけて準備をされたことを知っていました。医療だってそうです。また、多くの海外の方が、オリンピックに合わせてずいぶん前から日本への旅を計画して準備されていたことも、知っていました。そういう人の思いや努力は、どこにいくのだろう。
まだまだ世界的にコロナ禍が続き、人の心が自分のことで精いっぱいで、悲しみから脱していない時に、どうして人の心を置き去りにして開催してしまうのだろう。経済的な状況、選手の状況は理解しても、そもそも、オリンピックは友和のために行うもので、心の状況が整わない時に、何を目的に開催するのだろう?少なくとも、これまでと同じトーンでは、人の気持ちが整わない。
では、何が私の答えなのだろう?
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モヤモヤは続きました。
自国の声援があることで、選手たちは士気が上がると思うのです。オンラインの声援もいいけれど、実際に会場で声援を送ることができた場合、その声援は選手を元気づけると思うのです。
それが、日本在住の人たちだけが観客になったら、どうなる?
日本在住の外国人の方で自国の選手を応援する場合、人数がある国はいいけれど、人数の少ない国の人たちはどうなる?人数のある国だけが、より大きな声援を自国の選手に送るのはフェアなことだろうか?それって、オリンピックの本来の趣旨である、平等、博愛、平和、に沿ったことなのだろうか?
では、何が私の答えなのだろう?
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そのモヤモヤを抱えてしばらく過ごしていた私。ある日、仕事のために滞在していたゲストハウスで、あるリモート・グループセッションの準備をしていました。
このゲストハウスは、若いご夫婦が家族経営されています。昔の建物を改装し、古い障子や柱もそのまま再利用しているので、お部屋全体に懐かしい感じがします。共用スペースにはこたつもあって、とても落ち着きます。
元々海外の方々を中心に日本の方にも大人気で大繁盛していたのですが、コロナ禍で海外の方々が日本に入ってこれなくなり、大打撃を受けました。現在は、2歳の娘さんの健康を第一に、緩やかにお客さんを戻しているところです。
よちよち歩きを始めた2歳の娘さんが言葉をどんどん覚える時期で、かわいくてたまりません。「もしもし。」「シーユー! (See you!)」等、片言ですが、毎日言葉が増えていくのです。
このグループ・セッションでは、海外の方々も、日本の方々も参加されるものでした。準備をしながら、ふと考えました。このゲストハウス様も、本来ならば、オリンピック関連の海外のお客様でいっぱいだったはず。海外のお客様をお迎えするのを楽しみにされていたはずなのに、コロナ禍が落ち着かないままオリンピックを開催することにしてしまったために、その機会がなくなってしまったのだ…。
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モヤモヤしながら、リモート・セッションの準備をしていたら、ふと、ある思いがわきました。
そうだ。このリモート・セッションは、海外の方も参加してくださっている。
海外の方々にも、オリンピックの会場で選手を応援できない寂しさがあるはずだ。私はオリンピックに直接関係してはいないけれど、その立場でも、海外の方々に伝えられる思いはあるはずだ。私たち日本人から、世界の人たちに伝えられる希望に満ちたメッセージはないだろうか?
このセッションで、その思いを伝えたらどうだろう?
スタッフにもその思いを伝えたところ、同意してくれました。そこで、どんなメッセージを伝えたいのか、私は考え始めました。
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私が海外の方々に伝えたいメッセージは…。
「今回、東京オリンピック2020で海外のお客様をお迎えできなくなって、とても残念に感じています。海外の皆さんも、同じ思いだと思います。
日本に来てくださる、どの国の選手も平等に、その国の代表として大切に応援されてほしい。ですから私たちは、もし観客席で応援をすることがあったら、皆さんの代わりに、客席で皆さんの国の選手を応援をしたいです。自分の国に関係なく、どの国も選手も、平等に応援をしたいです。」
口に出しながら、涙が出てきました。
「どの国の人たちも、国によって扱いが変わることなく、平等に大切に応援されてほしい。」そんな思いが自分の中にあったのだ。モヤモヤの中身が言葉になったとき、そのような強い思いがあったことに、自分でも驚くほどでした。
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ゲストハウスの奥様に私の思いをお伝えすると、ありがたいことに共感してくださったのです。奥様が、オリンピックを海外からのお客様なしで行うことに決まったニュースを聞いて、同じモヤモヤがあったということをお話しくださいました。「きっとみんなも、『それで本当にいいのかな?』という同じようなモヤモヤがあったよね。」と仰いました。
そうか、このような思いを感じているのは、私一人ではなかったのだ。
私は勇気づけられました。
その日の夕方、ふと思い立って、私はこのゲストハウスの奥様に声をかけました。「私のリモート・セッションに、ご家族皆さんで出演され、世界の方々に思いを届けてみませんか?」
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「最近、英語を話していないんですよ~。」と仰る奥様に、私から「通訳の方が訳してくださるから、日本語でも大丈夫ですよ。」とお伝えしたところ、「それなら、最初英語で、途中から日本語でお話しさせていただきますね。」と仰り、海外の方に届けたいメッセージを旦那様と考えてくださることになりました。そして、2歳の娘さんも一緒に、家族みんなで参加してくださることになりました。
私からは、海外の方をお迎えできなくなった宿泊施設の皆様の思いを、代表でお伝えいただくという気持ちでお話しくださると嬉しいです、とお伝えしました。
リハーサルでは、まず私から日本人の方向けに、日本語で私の思いをお伝えしました。この記事で書かせていただいたような思いをお伝えしたのです。
それから、ゲストハウスのご家族をお迎え。ご夫婦の間に娘さんが座った状態で、まず奥様から思いを伝えてくださることにしました。ですが、娘さんが部屋の端にいたスタッフのところにとことこ歩いていって、遊び始めてしまうというハプニングが!小さい子供さんの行動は予測できず(笑)!!
リハーサルを何とか終了し、いよいよ、本番です。
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いよいよ本番。私は自分の思いを海外の皆さんに打ち明けました。そして、
「皆さんの国の選手を日本にお迎えするときには、私たちは、あなたの代わりに、あなたの国の選手を応援しますよ。どの国の方も平等にサポートし、応援します。」
とお伝えしました。話していてまた涙が出てきましたし、今書いていても、涙が出てくるのです。よほど私にとっては、大切な思いだったのだと思います。
それから、ゲストハウスのご家族が登場してくださり、ご夫婦で次の思いをお伝えくださいました。
「東京オリンピックで海外のお客様をお迎えできなくなり、残念に思っています。皆さんの中にも、残念な思いを感じている方もおいででしょう。ですから、私たちはみんなで、みなさんの国の選手を応援しますよ。コロナ禍が落ち着いたら、ぜひ、日本に遊びにきてくださいね。」
今度は、娘さんも何とか、ママのお膝の上に座っていてくださいました。
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さて、参加してくださった方の反応は…。
ある日本人の女性は、「皆さんの気持ちを感じて、涙があふれて止まらなかったです。」とお話しくださいました。なんという優しいお心でしょうか!
海外の方々は、「コロナ禍が落ち着いたら、日本に行くね!」とか、"Arigatou!" "Welcome!" とか、温かいメッセージを送ってくださいました。
それを見ていて思ったこと。こんなに同じ気持ちを感じていた方がいてくださったのだ、ということ。
その悲しみを、一度みんなで共有して、受け止めて、癒す必要があったのだということ。それから何ができるか、考え、前に進むことができる、ということ。
これから具体的に私に何ができるか、考えて行動していきたいと思います。
お読みいただき、誠にありがとうございました。