前世療法中の体験には、前世の記憶だけでなく、自分の願望、イメージ、隠喩(メタファー)と呼ばれるものも混ざっているので、100%前世の記憶であるとは限りません。前世療法のセラピストは、ご自身の潜在意識から浮かびあがるイメージを用いて施術します。ですので、そのイメージは前世の記憶と呼んでも呼ばなくてもいいのです。ご自身の中から生じたイメージですので、ユングの夢分析等と同様に、ご自身の課題を解決するために役立てることができるからです。
ただ一般的に、次で紹介する内容のような特徴があれば、前世の記憶と呼んでもいいかもしれない、と考えられています。よろしければ参考にしてください。
1. 体験が強い感情・直観・五感などを伴っている。
例えば、体の芯から恋しい、幸せ、悲しい、うれしい、等々という体験をします。魂が揺さぶられるような強い感情がわきます。単にイメージをしているだけではそこまでの強い感情がわくことはあまり多くありません。
また、感情だけでなく、強い直観や五感を感じることもあります。 直感で自分の体験が前世のものであることを感じ取り、ただ確信することもあります。そのような場合、患者様に「私にはただわかったのです」と言われることがあります。五感の場合、例えば、リアルな手触り、におい、味、音、ビジョンなどが生じます。
ある男性の方が過去生で恋をしていた女性に出会い、好きで好きでたまらない、という感情がわきました。今世でまだそのような体験はなかったそうで、あまりの恋心に目を覚ましたくないほどだったそうです。
2.前世療法中の体験に、トラウマになるような経験がある。
前世療法中の体験に、トラウマになるような経験がある場合、前世の記憶であると推測されることが多いです。内容が詳細であると、なおその確率が高まります。
3. 症状や病気が改善することがある。
長年患っていた症状や病気が改善することがあります。通常のトラウマ(心的外傷)治療と同じ考え方で前世の記憶を扱うことができます。前世でトラウマとなった出来事を思い出すことで、症状が軽くなることがあります。人によっては劇的に改善を見せることもあります。それが前世療法が医療で用いられる理由です。
医学的に原因がよくわからなかったり、治療法があまりなかった病気が改善することがあるのも、前世療法の特長です。
もちろん、病気の原因は様々であり、前世療法で必ず良くなるとは言い切れませんが、前世療法は治療のオプションとして大切な役割があると私は考えています。
4.それまで自分が見たことのない風習・慣習を体験する。
ある英語圏の男性の方が施術中に日本の実家に戻りました。家に入ると妻がいろりのところで中腰でお辞儀をしたのですが、そのお辞儀の仕方が、今世の彼には見覚えのないものでした。それもそのはず、彼は英語圏の方なので、正式に正座して行うお辞儀しか知らなかったのでした。
5.歴史的な出来事と符合する。
前世療法中に出てくる年号や出来事をインターネットで調べてみると、歴史と合っていることがあります。また、その出来事を今世での自分が全く知らなかったということもあります。
ある女性の方が第二次世界大戦中のオーストラリアに戻りました。暑さの中での島での戦闘の準備の様子などを詳細に描き出していたのですが、その方は、オーストラリアが第二次世界大戦に参加していたことを、セッションが終わった後に初めて知ったのでした。
6. 何度も同じ人生に戻る。
何度も同じ人生に戻る、それも、同じ人生の異なる場面、例えば子供の頃から大人になり、死の場面までを一貫して何度も見ることがあると、見ているものが前世の可能性が高いと考えられます。
ある女性の方は、ヨーロッパの前世で自分の戦士としての姿を見ても、最初自分で作り出しているイメージだろうくらいにしか考えていませんでした。今世で彼女は運動があまり得意でなく、前世で身体がよく動くことが信じられなかったのです。ですが、同じ人生のいろいろな場面に何度も戻り、しかも、戦いの前の準備で町の石畳を歩いている自分の姿とその日常感を体験したときに、「そこまで自分で作り出すのは無理。今世で自分はヨーロッパに2回、それも短期間しか行ったことがなく、旅行の際には日常感は感じられなかった。見ているのはおそらく前世だ。」と思ったそうです。
7.自分が今世で話したことのない言葉を話す。
私の経験では、ある英語圏にお住いの男性の方が古代ギリシャに戻った際、深く催眠状態に入り、最初は英語で話していたのですが、次第に英語を話すのが億劫になって、当時現地で話していた古代ギリシャ語と思われる言葉を話し出した場面に出会ったことがあります。私は古代ギリシャ語を話しませんので、焦って無理やり言葉の知識を引っ張り出し、年号や土地の名前(ミコノス島でした)等を理解しようとしていました。 ご本人は起きてから、自分は今世で英語しか話せず、古代ギリシャ語は全く学んでいないと言い、自分の体験にとても驚いていました。
8. 共有の記憶を持つ人と出会う。
例えば、人生の伴侶、友人とは他の人生でも出会っていることが多いです。それぞれに相手と一緒だった前世に戻ってみると、同じ場面を共有することがあります。
ある女性の方は、古代インドでの人生(その人生では男性)に戻った際に、ある女性(今世での彼女の女友達)にマッサージを受けているところを思い出しました。その友達が前世に戻った際、男性(クライアントの女性)にマッサージを施している女性としての自分の姿を思い出しました。二人の記憶を照らし合わせたところ見事に一致していました。
自分の前世を探っていくのも興味深いのですが、ご自身の課題を解決していくためには、前世療法中に経験した内容から何を学ぶかが大切になります。
自分の経験した内容が前世のものかどうかにこだわりすぎると、施術の効果が弱くなってしまうのでご注意下さい。
まず、現在抱える課題を解決するために、その内容がどのように役立つか、セッションの際に話し合いましょう。前世について調べ始める時期についてもぜひご相談ください。
かくいう私も、最初は前世にときめきつつも、自分の経験した内容が前世のものか懐疑的でした。悩みすぎて頭がいっぱいになり、パンクしそうになったこともありました。
ですが、半年から一年以上たってから、昔見たビジョンの意味がわかることもあることに気づいてから、自分の経験を論理的思考で決めつけず、見たままにするようになりました。今の私にもし誰かが「あなたの見たものは前世の記憶なの?」と聞かれたら「うーん、高い確率でたぶん そう」と答えると思います。
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