Title: An exhibition on Ainu; wooden statues created by Mr. Takeki Fujito, an Ainu artist. @ Tokyo Station Gallery, Japan. (Ainu are indigeneous people in Hokkaido, northern area of Japan)
皆様、こんにちは。
この数年、アイヌのことを知りたい、という思いが強くなっていました。
昨年、東京の日本民芸館で行われた「アイヌの美しき手仕事」展に伺いました。日本民芸館は、アイヌ民族の工芸文化に深く心を惹かれた 柳宗悦(1889–1961)の創設です。
会場で、柳宗悦の書いた、アイヌの人たちはとにかく彫る、という内容の文章を拝見しました。木彫りのお皿などの日用品も、一彫り、一彫り、美しい模様が丁寧に彫ってあります。
なぜ彫るのか?
自分に問いかけました。会場でアイヌの前世に戻っていた私は、ピーンと思い出しました。
「神様とつながるためだ。」
祈る。願う。
(自分を含め)みんなが守られますように。カムイ(神)がそばにいてくださいますように。豊漁になりますように、食べものが十分ありますように。どうかお守りください。どうか、お守りください。
彫ることは、神様とつながる方法の一つ。一彫り、一彫り、彫っていると無心になります。願いを神様に届けつつ、神様と対話する時間でもあったかもしれません。
柳宗悦は芸術に人間のエゴが混じると、芸術性が落ちてしまうことを嘆いていました。そのような中、アイヌの人々が、無心に、純粋に彫る姿を見て、感銘を受けました。信仰が残っている場所で育つ芸術の輝きを見たのです。
その時の展示は、主に戦前の貴重なもの。今その文化の根源はどうなっているだろう、と思いながら、会場を後にしたのです。
そして、約一年後の先日、電車の中で、あるつり革広告にふと目が留まりました。東京駅の東京ステーションギャラリーで開催されているこちらの展覧会です。
「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 『アイヌであればこそ』」
2021年7月17日(土) - 9月26日(日)
写真から伝わる、生き生きと生きているかのような熊の姿に、目が釘付けになりました。
たまたまスケジュールが合ったので、すぐに翌日観に行きました。平日の閉館間際で人が少なく、その時会場にいたのは、たまたま私のみでした。
音一つない静けさの中で、心静かに集中して作品と向き合いました。熊、狼、鹿を始めとする生き物や、アイヌの人々の木彫りの像。すぐに心を奪われました。
作品について言葉で表現しようとしても、うまく言葉にならない。その理由を考えてみました。
人の言葉を超えた世界で彫られたものだから、だと思いました。
藤戸竹喜(ふじとたけき・1934-2018)さんは、事前にスケッチもしない方だったそうです。じっと木を見ていると、どこを彫ればよいのか見えてくるのだそうです。後は、彫り出すだけ。一木(いちぼく)から仏像を彫りだした仏師たちも、そう仰っていたことを思い出しました。
藤戸さんは、両親、祖父母もアイヌのご出身でした。父親も熊彫りだったそうです。