おかげさまでご縁をいただき、2015年(平成27年)6月6日(土)に、江東区医師会 区民公開講座で「うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら治療するためのケア」というタイトルで講演をさせていただきました。前世療法のお話もさせていただきました。ありがたいことに、会場は満席で、立ち見も出たほどでした。これも、関係者の皆様、ご参加いただいた皆様のおかげです。この場を借りてお礼を申し上げます。
講演の内容を、リバーサイドメンタルクリニックのブログで連載させていただきましたので、ここにご紹介させていただきますね。連載は全34話です。僭越ではございますが、本連載は「にほんブログ村精神科・心療内科・ヒプノセラピー注目記事ランキング」でもご好評いただきましたので、併せて(別ページに)ご紹介させていただきます。皆様の参考になれば嬉しいです。
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話 第11話 第12話 第13話 第14話 第15話 第16話 第17話 第18話 第19話 第20話 第21話 第22話 第23話 第24話 第25話 第26話 第27話 第28話 第29話 第30話 第31話 第32話 第33話 第34話
連載期間:2015年11月13日(金) - 2016年01月04日(月)
皆様、こんにちは。
2015年
6月に江東区医師会 区民公開講座でお話をさせていただき、ご好評をいただきました「うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら
治療するためのケア」をご紹介させていただきますね。
厚生労働省が 3年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によると、平成 8年には 43.3万人だったうつ病等の気分障害の総患者数は、平成 20年には 104.1万人と 9年間で 2.4倍に増加しました。
また、平成 14から
18年度に行われた、一般住民を対象とした厚労省の研究班(主任、川上憲人)の疫学調査では、何らかの不安障害を有する方の数は、一生のうちに一度は病気にかかる人の割合(生涯有病率)で 9.2%(約 10人に 1人)、12ヶ月間に一度は病気にかかる人の割合(12ヶ月有病率)では
5.5%(約 18人に1人)でした。厚労省では、「不安障害は年々増えていて、米国では今や 10人に 3人以上が経験する病気であることが考えられ」るとしています。
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このような傾向がある中で、うつ・不安障害をなるべくお薬を減らしながら治療したい、ということは現代社会のニーズであるようにも感じられます。
僭越ではありますが、リバーサイドメンタルクリニックでは、女性の患者様を対象に、お一人あたり約90分という時間をかけながら、カウンセリング、催眠療法、マインドフルネスなどを用いて治療を行っております。
リバーサイドメンタルクリニックを受診される患者様のニーズとしては、「なるべくお薬を用いずにメンタルのご病気を改善させたい」「できるだけお薬を減らしたい」というご要望が多いです。他の病院や公的機関などからの患者様のご紹介もいただくのですが、その場合、ご相談内容が保険診療の枠を超えており、かつカウンセリングや催眠療法が適していると判断されたケースがほとんどです。ですので、リバーサイドメンタルクリニックを受診される前に数年から10年以上の通院歴を持つ患者様もおいでです。
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僭越ではありますが、これまでの経験を元に、うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケアについて、お話をさせていただきますね。現在ご通院中の患者様が減薬を希望される場合には、必ず主治医と相談しながら進めてくださいね。
まず、ここでいう「お薬」とは、例えば、抗うつ剤や抗不安薬などのことを指します。
例えば、これらのお薬を減らしていこうとする時、一言で言うと、お薬で減らしている症状を、お薬以外の方法で減らそう、と考えることになります。それらのアプローチは、大きく分けて、
・体からのアプローチ
・生き方など心からのアプローチ
・人・社会へのアプローチ
に分かれます。ですが、変えていく方向は同じです。キーワードは「楽になる」です。自分の体と心、そして生き方が楽になり、さらに自分も人も幸せに楽になっていく方向に変えていきます。
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まず、体からのアプローチ(体のケア)では、一般的に健康づくりの基本となる、バランスのよい食事、適度な運動、睡眠、休息、規則正しい生活リズム等はメンタルのご病気の治療でも大切です。体が楽になっていくからです。
運動では、自律訓練法・マインドフルネス(瞑想・ヨガなど)などのリラックス法を取り入れることをお勧めしています。睡眠、休息に関して、うつ病や不安障害の患者様の場合には、例えば休むこと自体に罪悪感が生じることがあり、睡眠や休息を取っているように見えても、実際には十分休めていないことがあるため、治療ではその患者様がつまづきやすい点を含めて話し合いながら改善していきます。
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メンタルのご病気の時には、体のだるさ(倦怠感)が生じることがあり、思い通りにならない体をひきずるように生活をしなければならなくなることがあるため、苦しいことがあります。
マインドフルネスの手法(瞑想・ヨガなど)は心身をリラックスさせ、この倦怠感を改善してくれる優れた方法の一つです。
また、マインドフルネスは不眠も改善させることが知られており、不眠の治療にも用いられています。お布団やベッドに入ってから色々と考えてしまって、眠りに入るまでに時間がかかる状況(入眠困難の一つの症状)を改善することにも役立ちます。
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次に、生き方など心からのアプローチ(心のケア)でよく用いられる方法をいくつかご紹介いたしますね。これらは一般的に精神療法と呼ばれることが多いです。
まず、カウンセリング・認知行動療法は、自分の本当の思いを知って、自分らしい生き方につなげるために役立ちます。
また、心と体を楽にする瞑想・ヨガなどのマインドフルネスは、不安状態、うつ状態には大きな効果が認められています。マインドフルネスは気づきや腑に落ち感を増やしてくれるため、認知療法と組み合わせて用いることもあります。その方法として、例えば、マインドフルネス認知療法(mindfulness based cognitive therapy)などが知られています。
退行催眠療法の一つである前世療法は、「
現世のみを扱っては見つけにくい生き方のくせを探ったり、現在抱えている課題(病気や人間関係など)の悩みのルーツを探ることで、それらの改善をもたらそうとする治療法」です。(前世療法センターのホームページより。)前世療法については、改めてお話しさせていただきますね。
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そして、人・社会へのアプローチ(人・社会とのつながりのケア)についてです。先日ブログでもお話しさせていただいたように、人・社会へのアプローチでは、自分も人も幸せに楽になっていく方向に変えていきます。
様々な方法がありますが、ここでは、メンタルのご病気の患者様が忘れがちな福祉のサポートについてお話しさせていただきますね。
メンタルのご病気を長く抱えた患者様が自立をしようとするときに、つまづくことが多いのが就労です。患者様の中には、受診前に、ご自身の心の準備が整っていないにも関わらず、焦って無理矢理自分を鼓舞して自力で就職先やアルバイト先を見つけようとし、結果的に、仕事に就いたり、仕事を続けることができなかったご経験をお持ちの方もおいでです。中には、家に引きこもってしまわれた方もおいでになります。
そういった患者様が、福祉の就労支援、例えば、就労移行支援、就労継続支援などを通じて仕事のスキルを学び、障害者雇用枠で就職をしたことで、安定して就労に至ったケースもあります。就労支援を受けた時の支援者との出会いのおかげで、人に相談をすることが苦手で抱え込みやすい性格だった方が、困った時に相談をすることができるようになったというケースもあります。患者様は、福祉の支援を通じて、人とつながり、社会とつながることを学ばれたのです。
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お薬以外の治療法がどのように減薬につながっていくのか、お話しさせていただきますね。よろしければ、こちらもご参照ください。
まず、お薬以外の治療法を学ぶことによって、患者様の気づきや腑に落ち感が増え、心身がリラックスし、少しずつ、ストレスのかかる状況によりよく対応できるようになっていきます。メンタルの症状への対応の仕方も学ぶため、次第に症状に自分自身で対応できるようになっていきます。これを、セルフケアの能力が高くなってきたという表現をすることがあります。
ご自身で(お薬を用いずに)症状に対応できるようになってくるため、少しずつうつ状態、不安状態は減ってくるのですが、この時点ではまだ、状況によっては、体調が不安定になることもあります。安定して症状が減っているわけではないため、一般的にこの時点ではまだ減薬の状態にはなっていません。
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お薬以外の治療法を学ぶことを継続していくと、次第にこれらの方法が身に付いていきます。小さな変化が積み重なってきて、心と体・人間関係・環境などが生きやすく変わってきます。そして少しずつ、生きることが楽になってきたと感じることも出てきます。この状況を、生きる力がついてきたと表現することもできます。
これを継続していくと、症状が強い時には嵐のように荒れ狂っているとすら感じた人生が、穏やかに整ってきます。
そうすると、症状が安定して改善してきます。この時に減薬が可能になるわけです。
体調が改善しお薬が減ると、体もより軽く感じることが多いです。この感覚はとても心地の良いものです。ですので、お薬以外の治療法を学ぶためにはコツコツと努力することが必要となりますが、その労力はあっても、減薬できてよかったと思えることのほうが多いです。
診察を踏まえ、私が「減薬できる体調ですよ」とお伝えすると、満面の笑みでガッツポーズをされる患者様もおいでです。素敵でしょう?
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お薬以外の治療法の利点は、その効果が長く続いたり、効果が時間と共により大きくなる可能性があることです。自分が変わることへの自信がつき、ストレスのかかる状況が生じても、より上手に対応できるようになってきます。また、お薬と比べ、治療の副作用が少ないという利点もあります。
続けることが大切なので、まずできるところから始めてみるとよろしいかもしれません。
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メンタルのご病気は、治療の段階、病状などによって、治療のゴールも異なります。ここでは、一般的な治療のケースでのお話をさせていただきますね。
うつや不安障害の場合、ご病気が発症して間もない時には、例えば、朝起きれなかったり、いつも心がざわざわして不安だったり、睡眠が十分とれないために一日中疲れが取れなかったりするなど、患者様が日常生活を落ち着いて送ること自体ができなくなっていることが多いです。そのため、治療者はまずは、患者様に日常生活をある程度落ち着いて送れるようになっていただけることをゴールにすることが多いです。
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ですが、次第に症状が安定し、日常生活をある程度落ち着いて送れるようになった後で、ケースによっては、病状が一進一退のまま時間が経過してしまう場合があります。お薬を飲んでいる場合には、お薬がなかなか減らない、という経験をされていることもあります。患者様によっては、その状況に不安になったり、イライラしてしまう場合もあります。
このような場合には、昨日のブログでご紹介させていただいた、「患者様に日常生活をある程度落ち着いて送れるようになっていただけること」という治療のゴールでは足りなくなってきます。
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ここでは、一般的な治療のケースでのお話をさせていただきますね。
うつ・不安障害のご治療で、日常生活をある程度落ち着いて送れるようになった後で、病状が一進一退のまま時間が経過してしまう状況になった時、次にどのようなゴールを設定すると、治療が進みやすくなる可能性があるか。
私の表現では、「生き方が楽になる。安心する。」というゴールです。
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「生き方が楽になる。安心する。」というゴールには、生き方、という言葉にもあるように、何のために生きるのか、ということや、人生の使命についても、深く関係することがあります。
これらのテーマは、昔は、医療の範囲外、という扱いをされることが多かったのですが、人の健康にも大きく影響することがわかってきたため、現在では、治療に取り入れられることが多くなってきています。領域としては、Positive
Psychology、Mindfulness、Spirituality in Health などといった分野になります。
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「生き方が楽になる。安心する。」というゴールにおける治療で、扱うことの多いテーマをいくつかご紹介させていただきますね。参考になれば幸いです。
まず、自分の本当の気持ちに気づいたり、自分が心から望んでいることは何かを知っていくこと、そして、できるだけその望んでいることに近づいて、少しでもそれを実現できるようにしていくことです。
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次に、自分と向き合い、自分を大切にすることを学び、自分を受け入れ、最終的には自分を許すということです。
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また、今年3月に「メンタルクリニックを卒業するために前世から学び終えるということ49」でご紹介させていただいた、「病気になってよかったこと(病気の恩恵)」です。
記事の一部をご紹介させていただきますね。
「…皆様の中には、『病気になってよかったこと(病気の恩恵)』と聞かれて、不思議に思う方もおいでになるかもしれません。病気は、いやなもの、苦しいもの、というイメージがあるからです。
でも、病気にはたくさんの恩恵があります。例えば、自分が本当に望むことに気づかせてくれたり、自分に合っていない道に進むのを止めてくれたり、当たり前のように思っていたことが、当たり前ではないと気づかせてくれたり、人のありがたさが身にしみたり、等々、病気という体験を通して、患者様はたくさんのことを学ばれます。これらの貴重な学びは、もしかしたら、その方にとっては、病気にならなければ学べなかったことだったかもしれません。
これらの学びによって、病気になる前より、病気をした後の自分は幸せになったと思えることがあるのです。」
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ここでは、一般的な治療のケースでのお話をさせていただきますね。
「病気になってよかったこと(病気の恩恵)」は、がんの心理療法で知られるサイモントン療法でも扱うテーマの一つですが、メンタルのご病気からの回復のためにも、役に立つ部分が大きいです。
サイモントン療法と同様、メンタルのご病気から回復を図る際には、健康になっても病気から得ている恩恵を十分に得られるような状況を作り出すことが大切になってくることがほとんどです。そのためにも、患者様がご病気からどのような恩恵を得ているか、また、何のために(何を学ぶために)病気になったのか、ということについては、丁寧に探っていくことが多いです。
というのも、健康になった時に病気の恩恵が得られていなければ、体はいやがって、また病気の状況を作り出してしまいかねないからです(!)。そのような意味でも、病気は患者様を、本心では望んでいない状況から守っている可能性があると言ってよいかもしれません。
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ここでは、一般的な治療のケースでのお話をさせていただきますね。
病気の時には、その苦しさのために「病気でなければいいのに、健康になりたい」と思っても、実は心のどこかで、病気の状態から回復して健康な状態に戻ることが怖いことがあります。長くご病気をされている場合にはなおさらです。健康な時に傷ついて病気になっているので、健康な状態に戻ると、また似た状況が生じて傷ついてしまうのではないか、と無意識に思って怖くなっていることがあるのです。
病気の恩恵を自覚して生活に取り入れ、「もう健康になっても大丈夫だよ」と体にそっと伝えて安心させてあげると、健康になることを怖がっていた体が「じゃあ、健康になってもいいかな」と、少しずつ安心して病気を手放してくれるようなイメージがあります。
ですので、再発を防いでいくためにも、メンタルのご病気から得た恩恵は、健康になっていくときには、病気の時と同じかそれ以上得られるようにしていく方向で検討をすることが多いです。
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ここでは、一般的な治療のケースでのお話をさせていただきますね。
治療の過程で、患者様が、病気をしている自分がはがゆくて残念で仕方がない時に、
「早く良くなって、病気をする前の自分に戻りたい」
と仰ることがあります。
病気になる前は、○○(例えば家事や仕事など)ができたのに、今は病気のためにそれができない。もし病気さえなければ、前のように○○ができるので、今感じているこの苦しみも感じなくてよいはず、という思いがあるようです。
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ここでは、一般的な治療のケースでのお話をさせていただきますね。
「早く良くなって、病気をする前の自分に戻りたい」と仰る患者様のお気持ちを理解しつつも、私は次のようにお伝えすることがあります。
「そのように仰るお気持ちはよくわかります。ですが、実は、病気をする前の自分に戻るという考えは、私はお勧めしていないんです。
病気をする前のご自身は、もしかしたら、気付かないうちに無理をされていたかもしれません。バランスをくずしてしまうような状況や要因があったから、ご病気になられたのかもしれません。ですから、本当に前の自分に戻ったとしたら、いつかまた、病気を作り出してしまうことがあるかもしれません。
実際は、前の自分に戻るのではなく、病気という経験を通して、『新しい』自分になっていくんです。病気は単に、健康な時にはできたことができなくなっている状態ではありません。今の病気の経験は無駄にはなりません。これからのご自身は、病気を通してたくさんのことを学び、新しい自分になっていきます。ご自身のことを、きっとこれまで以上に好きになりますよ。」
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次に、「生き方など心からのアプローチ」でもご紹介させていただいた、前世療法について、お話をさせていただきますね。
先日の記事「うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら
治療するためのケア6」でもご紹介させていただきましたが、退行催眠療法の一つである前世療法は、「 現世のみを扱っては見つけにくい生き方のくせを探ったり、現在抱えている課題(病気や人間関係など)の悩みのルーツを探ることで、それらの改善をもたらそうとする治療法」です。(前世療法センターのホームページ「前世療法とは・前世療法を受ける時期・前世療法の準備をするための本とCD」より。)
精神科医のブライアン・ワイス先生は、前世療法を治療に取り入れたことで知られ、現在前世療法の世界中への普及に努めておいでです。
ワイス先生のご功績は多岐にわたりますが、その一つは、治療の可能性を広げたことです。現在、前世療法は医療にも取り入れられつつあります。前世療法は、リバーサイドメンタルクリニックの治療でも、うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら
治療するために効果を認めています。よろしければ、先日の記事「ドクター・オズ・ショー(The Dr. Oz
Show)と前世療法3」もご参照ください。
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前世療法は、アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリア・インドを中心に医療に取り入れられつつあります。
インターネットで検索した情報では、現在のところ、日本で前世療法を行っている医師は10~20人くらいです。前世療法を提供している医療機関もあります。
先日の記事「ドクター・オズ・ショー(The Dr. Oz
Show)と前世療法」でもご紹介させていただきましたが、前世療法の研究も進みつつあります。
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日本における前世療法の提供のされ方には、医療的な視点で分類すると、大きく分けて次の3通りの形があります。
1.医療機関などで、医師が行う前世療法
単発のセッション形式であったり、リバーサイドメンタルクリニックのように治療の一部に組み込む形式があります。
2.医療機関などで、医師の指示の下、ヒプノセラピーを提供できる医師以外の医療提供者やヒプノセラピストが行う前世療法
こちらも治療の目的で行われています。
3.医療機関以外で行われている前世療法
一般的に、ヒプノセラピストとして活動をされている方々が前世療法を提供されています。ご治療中の方々が施術をお受けになるには、主治医の許可が必要になることが一般的です。
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前世があるかどうかはまだ科学的に十分証明されたわけではないのに、なぜ前世を扱う前世療法を医療に取り入れることができるのでしょうか?
それは、医療における前世の取り扱いが、セラピーとして用いるレベルの取り扱いである Therapeutic levelだからです。一方、見た前世を証明するのは、Validation level というレベルでの取り扱いとなります。
詳しくは、前世療法センターのホームページより「前世療法における前世の取り扱いについて」をご参照ください。
内容の一部をご紹介させていただきますね。
「… Therapeutic level での前世の取り扱いについて、具体例を挙げてご説明させていただきますね。
例えば、前世療法の催眠中に患者様が見る内容には、実際の前世も含まれていますが、メタファー(隠喩(いんゆ))なども含まれていることがあります。それらを区別することは難しい場合もあります。
Therapeutic
levelでは、見た内容が本当に前世の記憶であるかどうかは基本的に問いません。なぜなら、治療などセラピーのためには、見た内容は患者様やクライアント様の中から生じたものであり、全てに意味があるからです。ワイス先生もお話しですが、そのような意味では、前世療法はユング派の一つと説明されることがあります。
ですので、Therapeutic levelでは、見た内容は前世の記憶らしい、とあくまで「仮定」して内容を扱うことになります。仮定なので、見た内容を前世の記憶だと信じても信じなくてもいいのです。 前世に懐疑的な方でも前世療法をお受けになれるのはこのためです。
そうはいっても、前世の記憶には特徴があるので、おそらく前世の記憶であろう、とあたりを付けることはできます。前世の記憶の特徴については、「前世の記憶について」をご参照ください。…
一方で、Validation levelでは、催眠中に見た前世を、実際に史実などに基づいて証明するレベルです。Validationとは、「妥当性」と言った意味です。 前世が実際にあるかどうか、という研究はこちらに分類されます。…
前世療法を行う上で、前世のValidation level での理解もとても大切です。というのも、例えば前世に縁のある場所を訪れると、腑に落ちる感じが生じたり、当時のことをよりはっきりと思い出して前世の理解が進み、症状が改善することがあるためです。…」
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前世療法で知られるブライアン・ワイス先生の、Past Life Therapy 5-Day Professional
Training では、ワイス先生がこれまで治療してきて、効果を認めたご病気が紹介されています。その中には、今回のテーマである、うつ・不安障害も含まれています。
リバーサイドメンタルクリニックの治療でも、前世療法はこれらのご病気に基本的に効果を認めています。
よろしければ、「ドクター・オズ・ショー(The Dr. Oz Show)と前世療法3」もご参照ください。
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「うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら
治療するためのケア2」でもご紹介させていただきましたが、リバーサイドメンタルクリニックを受診される患者様のニーズとしては、「できるだけお薬を減らしたい」「なるべくお薬を用いずにメンタルのご病気を改善させたい」というご要望が多いです。
ここでは、前世療法がうつ・不安障害のご治療にどのように用いられることがあるか、一例をご紹介させていただきますね。
数年前にうつ病を患った患者様のD様は、元々他院で治療をお受けでした。「これまで主治医との関係もよく、お薬などの治療で日常生活は回るようになってきつつありました。ですがこのところ、抗うつ剤が
0.5錠から減らなくなってしまいました。さらに治療を進める可能性があればと思って主治医と相談したところ、リバーサイドメンタルクリニックを紹介されました」ということでご来院されました。
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D様は、思いやりのあるリーダータイプの人気者の女性です。しっかり者なのですが、人への頼り方がよくわからず、責任を引き受けすぎてしまう傾向があるようでした。苦しい状況でも、自分がつらいことがよくわからないことがあり、「小さい頃に、心にふたをしてしまったように感じる」とお話しでした。
診察が進む中で、D様の幼少期には、両親や祖父母がけんかをしがちで、小学校高学年の頃に彼らに理解してもらうことを諦めて心を閉ざしてしまった、とお話しくださいました。
D様はこれまで、ほとんどすべてのことを自分自身で解決しようとしてきたとのことでした。D様は、「私はこれまで人に甘えたことがありません。甘える、ってどういうことかということ、甘えるにはどうすればよいかもわかりません」と真顔でお話しでした。
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治療を行う中で、D様は前世療法に反応が大きく、前世に戻るとその後に減薬が進みやすいことがわかりました。抗うつ剤が減り始めたため、さらに詳しく前世を探ってみたところ、約200年くらい前のアメリカで、幼少期より親に虐待を受けた厳しい人生が出てきました。
施術の後、前世のD様はこの人生をよく生き抜いてこられたな、と思うと同時に、抗うつ剤
0.5錠に、これほど厳しい前世が隠れていたのか、と考えさせられてしまいました。
この例はD様に限ったことではなく、他の患者様でも同様の経験があります。よろしければ、「メンタルクリニックを卒業するために前世から学び終えるということ」をご参照ください。
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前世療法によるうつや不安状態などの症状の改善の仕方については、主に以下のものがあります。
まず、前世を思い出すだけで症状が改善することがあります。前世の思いを解放することで、気分がすっきりとして落ち着いてくることもあります。この時点で、前世での経験について「ああ、そうだったのか」と腑に落ち感が生じることもあります。
次に、前世の経験から学んで腑に落ちることによっても、さらに、前世の繰り返しを現世で越えていくことによっても、症状が改善していくことがあります。
前世の繰り返しが現世で生じた時、患者様がどのようにその状況を越えていくかは、前世から学び終えるためにも非常に重要です。
また、前世療法を受けることでも、前世療法の練習をするために前世療法のCDを聴いていただくことでも、心と体がリラックスしていくことがあるため、リラックス反応により症状が改善したり、気づきが増えていくことがあります。
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前世療法で知られるブライアン・ワイス先生の、Past Life Therapy
5-Day Training Workshop
では、前世療法に適応のないメンタルのご病気の主なものとして以下が紹介されています。
・統合失調症
・双極性感情障害(躁うつ病)
・人格障害
・依存症
・認知症
など。
ただし、これらのご病気以外でも、前世療法の対象にならない場合もありますし、これらのご病気であっても、かなり病状が改善している場合には、あくまで例外的に認める場合もあります。前世を思い出すことに対して怖さを感じる場合などには、その程度によっては前世療法の適応にはなりません。その時の病状によっても、前世療法を受けられるかどうかは変わってきますので、詳しくは治療者にお尋ねくださいね。
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メンタルのご病気からの回復ということについてお話をさせていただきますね。
10代の頃から約10年メンタルのご病気と向き合っておいでの20代の患者様K様に、ご病気の見通しをお話しさせていただいたときのことです。
この方はうつ病で、精神障害者保健福祉手帳も取得されていました。ご病気は決して軽いとは言えず、就労はもちろん、日々の生活を送ることも困難な状況でした。私がK様の10年後の病状を見通した時、健常者とほぼ同じと言えるほど回復しているかどうかは、わからない状況でした。
K様はそれでも、希望を持って治療に前向きに取り組んでおいででした。お薬をなるべく用いずに治療をしたい、と前世療法にも真剣に取り組んでくださっていました。
まだ社会に出たことのないK様が将来自立のために社会に出ることを考えたとき、そのイメージは「完全に回復してから社会に出る」というものでした。
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リバーサイドメンタルクリニックの20代の患者様K様の仰った、「完全に回復してから社会に出る」というイメージは、実は長くメンタルのご病気を患った患者様からよくお聞きする言葉です。しかし実際には、病状のために、完全な回復があるかどうか、わからない状況もあるのが現実です。K様もそのケースの一つでした。
そのような場合に、私は次のようにお話をさせていただくことがあります。以下はK様にお話しさせていただいた内容です。
「K様の仰るように、完全に回復してから社会に出られればいいですよね。でも、現時点では将来のことはまだわかりません。ですから、ご病気があっても、社会に出られるようになることを考えるほうが現実的だと私は思います。
K様の将来を見通したとき、10年後に完全に回復しているか、それはまだわかりません。でも、たとえ病気があっても、幸せに生きることは可能です。現在K様が取り組んでおられる、なるべくお薬を減らしながら
治療するためのケアを続けていると、たとえ病気があっても、それが苦にならなくなってくるんです。今のK様のご努力を拝見していて私は、10年後のK様はきっと幸せに生きておいでだろうと思うんです」
するとK様は、はっきりと「幸せに生きることができるなら、病気があってもいいです。」と仰いました。
*****
「幸せに生きることができるなら、病気があってもいいです。」と仰る患者様はK様だけではありません。私は患者様からこの言葉を聞くたびに、ご自分の人生を受け入れようとする患者様の勇気に胸が打たれます。
メンタルのご病気からの回復のために、希望を持つことはとても大切です。希望の灯を心に持ち続けながら、一歩一歩進んでいきましょう。
「うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア3」も参考にしていただければと思うのですが、うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら
治療するためのケアを実践されていくと、自分の体と心、そして生き方が楽になり、さらに自分も人も幸せに楽になっていきます。
皆様の人生が楽になっていかれるために、このお話が少しでも役に立つと嬉しいです。
御拝読いただき、本当にありがとうございました。
江東区医師会様のホームページにも、講演のまとめを掲載させていただきました。よろしければ、こちらをご参照ください。
おかげさまで、ブログでの連載「うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら治療するためのケア」は、大変ご好評をいただきました。以下に特にご好評をいただいた記事をご紹介しています。本ページでは、以下の記事を1ページでご紹介するために、記事を一部校正しています。
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皆様、こんにちは。
いつもリバーサイドメンタルクリニックのブログを応援してくださり、誠にありがとうございます。東京は今朝まで雨模様でしたが、午後になって青空が見え始め日差しが差し込むようになりました。おかげさまで、気持ちのよい午後をいただいています。
前回の記事に続き、最近ですと、
うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア1
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おかげさまで 2位をいただきました。心より御礼申し上げます。
皆様に減薬というテーマにご関心を寄せていただいたことを、心からありがたく思っています。この連載が、うつ病や不安障害で苦しまれている方にとって、少しでも手助けになれば嬉しいです。
いつも本当にありがとうございます。
皆様、こんにちは。
いつもリバーサイドメンタルクリニックのブログを応援してくださり、誠にありがとうございます。今日の東京はお天気ですっきりとした青空です。隅田川を走る遊覧船からも楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
前回の記事に続き、最近ですと、
うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア3
うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら
治療するためのケア5
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なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア5」は、同ランキングで 1位をいただきました。皆様に心より御礼申し上げます。
マインドフルネスは、うつ状態、不安状態を始めとし、様々なメンタルの症状の改善をもたらしてくれますが、「うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア5」でご紹介させていただいた、倦怠感には非常に効果があります。この倦怠感によりアプローチできる手法は多くないため、マインドフルネスには感謝しています。
皆様の参考になれば幸いです。
皆様、こんにちは。
いつもリバーサイドメンタルクリニックのブログを応援してくださり、誠にありがとうございます。次第に温かい飲み物が嬉しい季節になってきましたね。今日の東京はお天気で一面の青空です。
前回の記事に続き、最近ですと、
うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア4
うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら
治療するためのケア9
が特にご好評をいただいております。「にほんブログ村精神科・心療内科注目記事ランキング」でも、大勢の皆様のご関心をいただきました。おかげさまで、「うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア9」は、同ランキングで 3位をいただきました。皆様に心より御礼申し上げます。
減薬が可能になるとき、患者様の身も心も楽になられていることを感じます。例えば、メンタル面では、ストレスがかかる状況が生じても、落ち込みにくくなっていたり、立ち直りが早くなっていたりします。体の面では、疲れても寝ると翌日には疲れが回復していたり、階段を上まで楽に上がることができるようになったりしているのを感じることもあります。回復によってできなかったことができるようになっていくのは、回復を実感することができて本当に嬉しいものです。
いつも本当にありがとうございます。
皆様、こんにちは。
いつもリバーサイドメンタルクリニックのブログを応援してくださり、誠にありがとうございます。穏やかな日差しが、心まで嬉しく温かくしてくれる季節になってきました。
前回の記事に続き、最近ですと、
うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア8
うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら
治療するためのケア10
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なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア10」は、同ランキングで 1位をいただきました。皆様に心より御礼申し上げます。
前世療法は、リバーサイドメンタルクリニックの治療でも、うつや不安障害に効果を認めています。これは私の個人的な印象ですが、前世療法の後、まるで熱が引くようにすうっとうつ状態が引くことがあります。とても自然なうつ状態の引き方なので、こちらも本当に嬉しくなります。そのような点でも、前世療法に感謝しています。
皆様、こんにちは。
いつもリバーサイドメンタルクリニックのブログを応援してくださり、誠にありがとうございます。今日の東京は青空ですが、最近少しずつ冬の青空に変わってきたのを感じます。ありがたいことに、空を眺めながら、近づいてきた冬を味わわせていただいています。
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うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア12
が特にご好評をいただいております。「にほんブログ村精神科・心療内科注目記事ランキング」でも、大勢の皆様のご関心をいただきました。おかげさまで、「うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア12」は、同ランキングで 2位をいただきました。皆様に心より御礼申し上げます。
多くの皆様に支えていただきました、今年6月6日に行われた「江東区医師会 区民公開講座」では、次のようにご報告させていただきました。
「とても熱心に耳を傾けてくださる参加者の皆様にお会いできて本当にありがたく思いました。患者様より、皆様が真剣にメモを取られていたと伺い、感激もひとしおでした。」
同じようにとても熱心にお読みくださるリバーサイドメンタルクリニックのブログの読者の皆様に心より感謝です。もし今回の講座の内容が、少しでも皆様のお役に立つようでしたら、本当に嬉しいです。
いつも本当にありがとうございます。
皆様、こんにちは。
いつもリバーサイドメンタルクリニックのブログを応援してくださり、誠にありがとうございます。ありがたいことに、診察室でもクリスマスを味わわせていただいています。
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が特にご好評をいただいております。「にほんブログ村精神科・心療内科注目記事ランキング」でも、大勢の皆様のご関心をいただきました。皆様に心より御礼申し上げます。
おかげさまで、ブログを始めて約一年半経ちました。皆様のおかげでここまでこれました。いつも本当にありがとうございます。
皆様の師走が希望に満ち足りたものになりますよう、心よりお祈りしております。
皆様、こんにちは。
いつもリバーサイドメンタルクリニックのブログを応援してくださり、誠にありがとうございます。おかげさまで、心温まる冬の日々を過ごさせていただいています。支えてくださる皆様に心から感謝です。
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うつ・不安障害を
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治療するためのケア29
うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア34
が特にご好評をいただいております。「にほんブログ村精神科・心療内科注目記事ランキング」でも、大勢の皆様のご関心をいただきました。おかげさまで、「うつ・不安障害を
なるべくお薬を減らしながら 治療するためのケア24」は、同ランキングで 2位をいただきました。皆様に心より御礼申し上げます。
読みやすいように、「うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら
治療するためのケア」の連載記事をまとめて前世療法センターのホームページに掲載させていただきました。よろしければ、本ホームページより、「江東区医師会 区民公開講座 うつ・不安障害を なるべくお薬を減らしながら治療するためのケア1」
をご参照いただけますと幸いです。
いつも本当にありがとうございます。